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2007/6/15

仕事柄、空港へは毎日のように行っている。
数日前の事、JFKのデルタ航空のターミナルにいた時かかっていた音楽が、自分の趣味に近いものだったので聴き入っていた。
しかしながら、業務連絡等で曲が途切れ途切れになるのが残念で、その時、ふっと、空港と音楽の関係に考えが及び、ブライアン・イーノのこの1978年のアルバムの事を思い出した。

う~ん、そう言えば暫く聴いていなかったな~、これ。
空港内で聴く事は出来ないけど、代わりに空港へ向う車の中で聴く事にしよう...と、このCDを持参して今日仕事に向った。

Ambient...。
環境音楽。

激しく高ぶる感情をそのままぶつけるのがロックだとすると、環境音楽はそれとは全く対峙する物と言える。
言わば、禅の世界。(...って、禅の事良く知らないけど...。)
無心の心。
無感情と言うのとは違う、感情に左右されない穏やかな心。
静かな波に揺れるが如く、空気の流れに身を委ねるが如く....。
つまるところ、let it be...。
実際このCDを聴きながら運転すると、驚くほど気持ちが落ち着き安全運転をしている自分に気付く。
これって、「Music for Airports」って言うより、「Music for driving」と言ったほうが正しいかもしれない、なんて思ったりもした。

しかしイーノ自身はこんな風に語っている。

う~ん、興味深い。
何が興味深いかって、空港で流れていた彼の気に障った「Awful Music」が一体誰のどの曲だったかって言う事。
だって、イーノ曰く空港のような公共の空間にそぐわないその酷い音楽こそ、「Ambient」の発想の起源にある訳だから....。
その日、イーノの耳に雑音の如く流れ込んだ音楽が無かったら、「環境音楽」と言う発想は生まれなかったかもしれないもんね。
まあ、形態的には、このアルバムよりずっと以前からイーノは似たような音楽を創造していたんだけど、観念と言う部分で違っているから。
それともうひとつ。
ロックとは対峙する音楽を創造しながらも、ブライアン・イーノって言う人は基本はロックン・ローラーなんだな~なんてつくづく思わされてしまったこと。
空港では乗客を不安にさせないように、陽気な音楽をかけるのが常套手段かもしれないけど、イーノはあえて、「飛行機に乗ったら落ちて死ぬかもしれないよ。でも死んだからって So What?」って思わせる音楽を目指したと言うあたり....。
ビートルズの「Tomorrow Never Knows」みたいな思想...。
う~ん、僕だけかもしれないけど...、こう言う意識にロックン・ロールを感じるんだよね~。
前に自分が言った事と矛盾しちゃうかもしれないけど、表面的な音の部分ではロックと環境音楽のベクトルは反対方向に向っていながらも、根底は同じところで結びついていた..みたいな....。

環境音楽=ロック~っ!?

どっひゃ~ん!!

......。


このアルバムは、感情の浮き沈みの表現を排除する為か、曲のタイトルが、「1/1」、「2/1」、「1/2」、「2/2」、と記号化されているのが面白い。
そしてジャケットの裏の羅列された幾何学模様の帯。



これって、楽譜なんじゃないかな?って僕は邪推するんですが...。
自分でも似たような事を試みた事があるんですね。
音のつながりって、点とか線に見えることがあるんです。
それをそのまま楽譜に起こすとこうなるんですよ~って、教えてくれているようで...。

色々楽しいアルバムです。

ただ、いろんなこと言っても、結局は美しくないといけないんです。
このアルバムは究極的に美しい....。

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アンビエント
これは聞く場所によって随分、感じ方の異なる音楽だと思います。”聴く”ではなく、”聞こえる”音楽のはずですが、僕が”聴いた”時は、美しい音楽だと思いました。ただ、聞こえてくる空間のサイズ。これは想像力の問題を超えて、実際に車の中で聞くのと、エアーポートロビーで聞こえてくる場合ではかなり違った印象を受けるのではないでしょうか?音楽雑誌の記事で、あるエアーポートで実験的に流したところ、待合室の客から、”止めてくれ!”との申し出が殺到したそうです。なんとなく分かる気がしました。ガラス窓を隔てて聞いている分にはゆったりとした気分で楽しめますが、内側の空間から聞こえてくると大いに不安な気持ちになるのではないでしょうか?ある種ソフトマシーンの音楽に似ているなと思いました。積極的に全面から押してくる音楽ではありませんが、なにかガラス一枚隔てた水槽のなかを覗き込んでいると面白くなってくるような感覚があります。ロバートワイヤットがピアノを弾いているのが偶然じゃない気がします。イーノはロックを極限まで”冷ました”ミュージシャンかも知れません。でもミュージックフォーエアポートは美しいですね。僕には雨雲の中をずーとっ上昇していく浮遊感が思い浮かびます。
ミスターT 2007/06/19(Tue)09:40:50 編集
Re:アンビエント
音楽は空間やシチュエーションの変化がそのニュアンスに著しく影響する事があると思います。
特にその「環境」と言うものをテーマにしたこのイーノの一連のアンビエント系は、感情の高揚を排除した分空間に溶け込みやすく、或いはそれゆえに、空間によっては聞いてる人に毛嫌いされる可能性も大きいかもしれません。

>ある種ソフトマシーンの音楽に似ているなと思いました。
...ロバートワイヤットがピアノを弾いているのが偶然じゃない気がします。

なるほど。
そうかもしれませんね。

【2007/06/21 10:46】
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Euge
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男性
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自己紹介:
ジョン・レノンから影響を受けた、
自称、シンガー・ソングライター...。
今日もニューヨークのアストリアで白昼夢。
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