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2007/12/27

昨晩は久しぶりに寝る前に音楽鑑賞などした。
ディランのアルバムを聴きながら、彼の発する言葉のイメージを必至に追いながらその世界に酔いしれていた。
僕は曲がりなりにもアメリカに16年住んでいるので、英語の曲を聴いているとその歌詞を実感で捉えられる用になってきている。(勿論100%理解などしておりませんが...。)
そして音楽における歌詞の比重あるいはその意味する事の重要さを考え、その言語を理解しない人々にとってその曲の存在と言うのは、本来持っていた価値を軽減するものなのだろうか?などと自問自答していた。
確かに中学生の頃ジョン・レノンが彼自身の曲「It's Only Love」をこき下ろしていた事を理解できなかった。(ジョンは歌詞が特に酷いと言っていた。)この曲はメロディアスでとても美しい曲だったし、僕にとって歌詞は二の次だったからだ。
しかしながら、今現在はジョンの言っていた事が非常に納得できる。
確かにこの曲は聴いてるとちょっと恥ずかしくなる...。
ではやはり言語を理解しない人にとっては、その曲の本来の姿を捉えることは無理なのだろうか?

と言う事で昨晩ディランを聴いた後、フレンチ・ポップの大スター、ミッシェル・ポルナレフ、1966年のこのファースト・アルバムを聴いてみた。(う~ん、ディランでフレンチと来ればゲンズブールなのでしょうが、僕は未だゲンズブールには行っていません...。)
フランス語は大学生の時に授業を取っていたが、全然勉強しなかったので全く分からない....。
つまりミッシェル・ポルナレフを聴いている僕には、彼の発している言葉に言語としての理解は全くなく、それは単に「音」の一部でしかないと言う事になる。
う~ん、ではインストを聴いているのとあまり変らないのだろうか?
いや~、しかし「Sous Quelle Étoile je suis Né」のイントロのアコースティック・ギターの音に導かれてポルナレフの歌声が響き渡ると何とも言えぬ気分にさせられる....。
何を言ってるか分からないけど、このフランス語の響き....。
言語の理解を超えた何かを感じるのは、単なる錯覚なのだろうか?

幸か不幸か2曲目の「Time Will Tell」は全編英語の曲。
歌詞はKeith Reid と言う人が書いている。

えっ?

Keith Reidって、あのProcol Harum の Keith Reid?

...それはともかく、この英語の曲にはポルナレフの魅力が明らかに低下してしまっている僕は感じる。
はっきり言ってどうでも良い歌詞の内容が露呈されていているだけで、僕には理解できないフランス語の曲の謎めいた魅力がなくなってしまってる。言葉がイメージを広げるのに力を貸してくれるのとは逆に、言葉によってイメージが制約され自由な発想を妨げているようにすら思える。
おそらくKeith Reid自身そんなに真剣に取り組んでいなかったんではないだろうか....。

そしてポルナレフの代表曲と言っていい、「Love me Please Love me」はサビのみ英語で他はフランス語で歌われると言う、日本の歌謡ロックが良く使う手が見事に行われている。
フランス人はプライドが高く英語を話す事が出来てもフランス語を通すと言う事を良く聞くが、ポルナレフのこの行動はフランスではどのように受け入れられたのか興味深い所だ。
しかしながら僕個人の意見としてはこれは見事に成功していると感じる。
クラシカルでありブルージーであるピアノのイントロに導かれ、何とも単純で直接的だけど切実な訴えがとても効果的な Love me Please Love me と言う歌詞...。
そしてエロティックな印象さえもかもし出すフランス語がオールディーズ風の曲調にのって耳に入ってくると、何故か切ない気分になってくる。
この感覚と言うのは歌詞を理解できないとしても非常に大切なものなんではないかと思う。言葉には出来ない、言葉では伝わらない、人間の感情と言うものはあるわけで、音楽と言うものはそれを補足するのに大いに貢献していると思う訳なのだ。

L'Amour avec Toi」は歌詞がエロティックすぎるので、フランスのラジオでは放送に制限があったとか...。
ここら辺は、歌詞の意味するところを感じ得ない人々にとっては、どれだけ重要な意味を持つものなのだろうか?
アメリカでは一時日本語で書かれたデザインの洋服などが流行ったが、「足」と書かれた野球帽をかぶってるお兄ちゃんを見たときは思わず噴出してしまった。
恐らくこのお兄ちゃんにその意味を教えた所で別に何も思わないだろう。
それは言語を体感していないからで、その意味するところを知ったとしても大した違いがないからだ。
言語の理解はその音の響きと直結した生活によって導かれるものなのだと思う。

アルバム最後を飾る「La Poupée qui Fait Non」では当時セッション・ミュージシャンであったであろうジミー・ペイジがギターを弾いているとか...。


と言う豆知識はどうでも良いんですが、


じゃあ、言語の理解と言うのは音楽を聴く上でどれだけ必要で意味を持つものなのか?と...。
ずっと話してきた訳ですが。

う~ん、そのモヤモヤな部分はポルナレフを聴いた後でも結局は答えが出ていませんね。

なんじゃそれ...。
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無題
ミシェル・ポルナレフは、ベストしか持っていないのであまり詳しくありません。「Love me Please Love me」は、日本ではTVCM(テレビだったかな?)に使用されていたことがあります。ゲンズブールは、フランスギャル経由でちょっと聞きましたかね。そのときも、日本ではドラマの主題歌でジェーン・バーキンの『無造作紳士』が使われていたり。そんなくらいですかね。僕が、二十歳のころ(10年前)は、わけもわからずゴダールの映画をみたりとなにか似非フランスかぶれの時期があったのを思い出しました。(笑)
ryoutaro 2007/12/28(Fri)13:40:41 編集
Re:無題
ゲンズブールとジェーン・バーキンのエロい2人組みの作品には興味あるんです。
ゲンズブールは時代時代でやってる音楽が変わって行ったみたいで、ある友人はレゲエの時代が良いとも言ってるんですが...。

ゴダールの作品はあんまり観ていないんですが、数年前にDVDを借りて「ワン・プラス・ワン」を観ました。
あれは僕にとってゴダールの映画というより、ストーンズのドキュメンタリーと言った印象の方が濃い作品でした。

フランス映画と言えば、アラン・ドロン主演の「サムライ」はご覧になりましたか?
あの映画は超~オススメです。 
【2007/12/29 12:31】
音楽と言葉
デイランでフレンチとくれば僕はブレルを連想します。ゲーンズブールは?トム ウエイツかな?なんか無精ひげのくくりみたいですが。はは。歌の言葉の持つ意味は大きいと思います。かつて英語圏以外では公演しないと言っていたデイランが武道館で演りましたね。言葉の緊張感がほぐれて、逆説的にいい演奏だったと思いますが。リラックスしたデイランはいい味だったし、ほのぼの感がありました。自分で自分に歌って聞かせていたのかも知れませんが。ポルナレフは良かったですね。僕も言葉は全く解かりませんでしたが、曲もよく声に独特の哀切感が溢れていました。で、キラキラ光ってましたね、彼は。
ロックが世界的に流行った事実は歌の内容を差引いても音楽というメデイアの強力さを実証していますが、中心にある核はやはり言葉なんじゃないかと思います。ある作詞家の言葉ですが、”美しい詩にはメロデイーが宿り、美しいメロデイーは詩を宿す。”といった内容だったと記憶します。
ミスターT 2007/12/29(Sat)12:22:19 編集
Re:音楽と言葉

>デイランでフレンチとくれば僕はブレルを連想します。

あの激しい口調で歌う?と言うかアジってる?人ですね。(フィルムを見た事があるんです...。)
な~るほど、そうなのかも知れませんね。

>かつて英語圏以外では公演しないと言っていたデイランが武道館で演りましたね。言葉の緊張感がほぐれて、逆説的にいい演奏だったと思いますが。

一昨日聴いていたのは「プラネット・ウエイブス」だったんですが、60年代のギラギラの頃のディランとは歌詞の部分で大きな違いがあるな~って思ったんですね。(歌詞についてはロビー・ロバートソンにも色々言われたらしいですが...。)
確かに日本へ行った頃にはおっしゃるとおり「言葉の緊張感がほぐれて」いたんではないかと思います。

>中心にある核はやはり言葉なんじゃないかと思います。

やはり、そうですよね。
ただフィーリングとしての音楽の役割が同時にあると言う事なのかもしれません。

>ある作詞家の言葉ですが、”美しい詩にはメロデイーが宿り、美しいメロデイーは詩を宿す。”といった内容だったと記憶します。

おっ、これは名文句ですね。
【2007/12/29 12:50】
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ジョン・レノンから影響を受けた、
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